米雇用30万人増、1月 市場予想上回る 賃金は3.2%上昇
【ワシントン=鳳山太成】米労働省が1日発表した1月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を映す非農業部門の雇用者数が前月比30万4千人増えた。11カ月ぶりの大きな伸び幅となった。失業率は政府機関の一部閉鎖の影響もあり、4.0%と0.1ポイント悪化。堅調な雇用の一方で米中貿易戦争の行方など不透明な要素が多いことを印象づけた。
1月の就業者数の伸びは前月(22万2千人)から加速し、市場予想(17万人程度)を大幅に上回った。レジャーや観光、建設など幅広い業種で雇用が拡大した。統計の算出基準を改定し、前月は31万2千人の速報値から下方修正された。
失業率は4%と2カ月連続で悪化し、7カ月ぶりに4%台になった。35日間続いた政府機関の一部閉鎖が悪化要因となった。自宅待機となった約38万人の政府職員は後から給与が支払われるため雇用統計では就業者に含まれるが、失業率の計算では失業者とみなされるためだ。
物価上昇につながる平均時給は27.56ドルと前年同月比3.2%増えて、6カ月連続で3%台に乗った。労働市場の需給が逼迫しているのを受けて09年4月以来の高い伸びが続いている。
米連邦準備理事会(FRB)は1月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを見送った。中国経済の減速など世界経済の先行きが不透明だとして、2019年中に2回を見込んでいた追加利上げも棚上げする考えを示した。
18年は平均20万人超の雇用者増が続き、失業率は3%台に突入した。ただ貿易戦争のほか、中国や欧州の景気減速、不安定な金融市場など米景気の減速につながる不透明な要素が増えている。
国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを2四半期続けて下方修正するなど、市場では景気減速懸念が広がる。野党の民主党が下院の主導権を握る「ねじれ議会」でトランプ政権の政策運営も難しくなっており、雇用の担い手である企業の景況感も徐々に悪化している。