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「1票の格差」、小手先の改革 自民「0増5減」提出

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国政選挙での「1票の格差」是正に向けて、自民党は27日、5県の衆院小選挙区を減らす「0増5減」法案を国会に提出した。民主党が提出した法案も「0増5減」を盛っている。参院は定数の「4増4減」案で決着する公算。最高裁が「違憲状態」と指摘した1票の格差問題は、各党の事情が優先され小手先の対応策にとどまるとの見通しが強まっている。

衆院の0増5減案は山梨、福井、徳島、高知、佐賀5県の小選挙区を3から2に減らす内容。衆院議員選挙区画定審議会設置法は選挙区間の1票の格差について「2倍以上にならないようにすることを基本とする」と規定している。0増5減法案が成立すれば、格差は2倍未満に縮小する。

福井や高知は自民党が3議席を独占している。27日の党総務会では対象議員への配慮を求める声が上がり、石原伸晃幹事長が「しっかり受け止める」と語った。対象の小選挙区が増えれば、それだけ複雑な選挙区調整や選出議員への配慮が必要になる。大政党には地盤が崩されるとの懸念もあり、まずは「2倍未満に抑える」という最低限の見直しにとどめた。

衆院選挙制度の抜本改革も先送りが濃厚だ。

民主党の法案は衆院比例代表定数の40削減や一部連用制の導入も含んでいる。樽床伸二幹事長代行は27日の記者会見で「民主党案の骨格が変わるようなことがあってはならない」と述べた。消費増税の前提に位置づけてきた「身を切る改革」を引っ込めれば、党内の増税反対派の反発が強まりかねないためだ。

だが自民党は比例代表の大幅な議席減につながる恐れがある連用制には反対で、民主党案が成立する可能性は低い。

カギを握るのはかねて連用制導入を主張してきた公明党の動向だ。自民党の谷垣禎一総裁は27日、山口那津男代表に0増5減法案提出への理解を求めた。山口氏は「1票の格差と選挙制度、定数削減の3点を議論して合意を得るべきだ」と従来姿勢を崩さなかった。公明党幹部の一人は「次々回の選挙までに定数削減と抜本改革を実施する担保が必要だ」と語る。

衆院解散・総選挙の時期をめぐる思惑も絡む。政府は「1票の格差によって解散の判断は縛られない」との立場だが「違憲状態」の解消は「事実上の解散の前提」との見方が多い。野田佳彦首相は「1票の価値」が最も小さい千葉4区の選出だ。早期解散を望む自民党は格差是正を急ぎたい考えで、調整に消極的な民主党執行部を「解散を先延ばしする狙いだ」と批判する。

参院では民自両党が神奈川、大阪両選挙区の定数を2増やし、福島と岐阜を2減らす「4増4減」案で折り合った。身を切る改革や解散の判断に影響しないため「一時しのぎ」の見直しで利害が一致した形。選挙制度の抜本改革も見送った。

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