東南海地震70年、「危機意識持って」 津でシンポ
1223人の犠牲者を出しながら、太平洋戦争末期の戦時下で軍部が情報を統制したため「隠された震災」といわれる東南海地震から7日で70年となるのを機に、三重県と三重大が設立した「みえ防災・減災センター」が6日、埋もれた実態を学び、教訓とすることをテーマにしたシンポジウムを津市で開催した。
三重大の内田淳正学長は「大変な被害があったはずなのに、あまり報道されず、知られていない地震。被害の実態を知ることで危機意識を持ってほしい」と話した。
パネルディスカッションで、みえ熊野学研究会運営委員の喜多健さん(79)は「身近にいる震災経験者から話を聞くだけでも防災意識を高めることができる」と指摘。三重大大学院の川口淳准教授(地域防災学)は「公文書を調べていくうちに、隠された地震の実態が明らかになる。資料を次の世代に伝えていくことが必要」と述べた。
東京大大学院の古村孝志教授(地震学)は基調講演で、発生が懸念される南海トラフ地震を取り上げ「30年以内に7割の確率で起こる。地震発生時どう行動するかイメージを高めておけば、被害を少なくすることができる」と訴えた。