G7、食料危機「ロシアは重大な責任」 黒海封鎖解除求める
【エルマウ=中島裕介】主要7カ国(G7)は28日閉幕した首脳会議(サミット)で、食料危機対応に関する共同声明を発表した。食料や肥料価格の高騰、生産やサプライチェーン(供給網)の混乱について「ロシアは重大な責任を負っている」と指摘した。「ロシアによるウクライナへの侵略戦争は飢餓の危機を劇的に悪化させている」と非難した。
声明は2022年に世界で最大3.2億人が深刻な食料不足に陥るとの国連の指摘に言及。黒海の封鎖や輸送インフラへの攻撃など「ウクライナの食料生産や輸出を妨げるすべての行為を無条件に終える」ことも改めて求めた。
G7は途上国や貧困国への食料の安定供給のために45億ドル(約6000億円)を追加拠出する。
ウクライナは小麦やトウモロコシといった世界有数の穀物生産国だが、ロシア軍による黒海封鎖で主要積み出し港のオデッサが機能しないなど輸出が滞っている。
G7は代替輸送路の充実も急ぐ。ポーランド経由でバルト海を渡るルートやルーマニアの港湾都市の活用が現状の有力経路だ。ただ輸送効率の点では黒海ルートが勝る。国連や英国はトルコを介した対ロシア交渉を試みているが、目立った成果は出ていない。
サミットに参加したインドのモディ首相は27日「世界の食料安全保障には、まずは肥料の確保に集中する必要がある」と述べ、自国の肥料生産拡大への協力を求めた。
インドネシアのジョコ大統領は同日「危機克服へG7と20カ国・地域(G20)が大きな責任を負っている」と述べた。中ロを含むG20との連携を呼びかけた。
インドネシアは11月に首脳会議を開くG20の議長国を務める。ジョコ氏は30日にロシアのプーチン大統領と会談を予定する。
G7サミット(主要7カ国首脳会議)が2023年5月19~21日に広島市で開催。会議の議題や各国首脳の動きなど最新ニュースをまとめました。