ファイザー、東京五輪選手団にワクチン供与 IOCと合意
【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーと独ビオンテックは6日、日本を含む東京五輪・パラリンピックの選手団向けに新型コロナウイルスのワクチンを供与することで国際オリンピック委員会(IOC)と合意したと発表した。5月末にも供与を始め、7月下旬の開幕までに2回の接種完了をめざす。
選手間の感染リスクは低減し、安全な大会開催の追い風となる。だが接種は義務ではなく、全員に行き渡るかも不透明。医療体制の確保など課題はなお残る。
IOCとファイザーが各国・地域のオリンピック委員会(NOC)と協議し、必要分を提供する見通し。各国のルールに基づき、日本への渡航前に接種を完了することをめざす。
5月下旬にも各国・地域に必要分の供与を始める。ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は6日、日本経済新聞のオンライン取材に応じ「オリパラの開催は人類がウイルスに打ち勝った象徴になる。安全に開催するためのワクチンを選手の皆さんに提供できることを誇りに思う」と話した。
IOCのバッハ会長は声明で「今回のワクチン供与は、東京五輪を全ての参加者にとって安全で確実なものにする。可能であればワクチンを接種するように呼びかけている」と述べた。
ブーラCEOは4月中旬に菅義偉首相と電話協議を行っており、この際に東京五輪の選手団にワクチンを提供することを打診したという。日本政府とIOCの協議を経て、今回の措置が決まった。
ファイザー・ビオンテック製のワクチンは、これまでに4億3000万回分超が世界91カ国・地域に供給されている。両社は2021年に25億回分、22年には30億回分を生産する見通しだ。今回の供与が世界への供給に影響を与えることはないとしている。
日本政府とは21年中に1億4400万回(7200万人)分を供給する契約をファイザーと結んでおり、菅首相がブーラCEOとの電話協議で追加供給を要請した。日本で同ワクチンは2月に承認され、現在国内で唯一接種できるワクチンとなっている。
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