日本語苦手な子の5%が支援学級に 全小中生の1.4倍
外国生まれなどで日本語が不得意な小中学生のうち5.1%が、本来は障害のある子らを対象とする特別支援学級に在籍していることが25日、文部科学省による初の全国調査で分かった。
小中学生全体の割合(3.6%)の1.4倍で、日本語の指導体制が整わないため少人数の支援学級で学ぶケースも多いとみられる。外国人材が日本経済に不可欠となり、家族の来日も増加が見込まれる。教員の追加配置や外部の専門家との連携による学習環境の改善が急務になる。
子どもの発達障害などに詳しいお茶の水女子大の榊原洋一名誉教授(小児神経学)は「日本生まれか否かで障害の発生率が大きく異なることは医学的に考えられない」と指摘。差について「障害の有無が適切に判断されていないか、通常の学級に余裕がないため少人数の支援学級に在籍させるケースが多いからではないか」と話す。
文科省によると、日本語指導が必要な児童生徒は2021年5月時点で約5万8千人おり、10年の1.7倍になった。公立小中に通う約5万2900人のうち約2700人が特別支援学級に在籍していた。
小中学校では14年度に授業として日本語を教える仕組みが導入されたが、実際に受けているのは対象児童生徒の約7割。約5割だった18年の前回調査より増えたが、授業として学んでいない子どもはなお多い。
対象者がいるのに日本語授業を実施していない学校に理由を尋ねると「担当教員がいない」との回答が最多だった。
指導体制の整備の遅れなどから、外国籍の子らが多く支援学級で学んでいることは以前から指摘されてきた。
文科省は16年度、外国人が多く住む静岡、愛知など8県の25市町を対象に調査。公立小中に通う外国籍の児童生徒のうち5.2%が支援学級に在籍しており、25市町の全児童生徒の割合(2.3%)の2倍以上だった。
日本経済新聞が同じ自治体を対象に20年度の状況を調査した際も2倍の差があった。
文科省は21年6月、特別支援学級に入る基準を定める手引に「障害がないのに日本語指導のために支援学級に入れるのは不適切」と明記した。担当者は「各自治体の判断基準などを調査する」と話す。
学習環境改善のため、文科省は26年度までの10年計画で、日本語指導が必要な児童生徒18人につき1人の割合になるように教員を追加配置する。各地のNPOや支援団体と連携して体制を強化することも自治体に求める。
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