ウクライナの隣国モルドバ、避難民流入で「医療逼迫」
JICA調査団が報告
ウクライナの隣国モルドバに医師らの調査団を派遣している国際協力機構(JICA)は8日、記者会見し、ロシア軍侵攻に伴って流入した避難民の受け入れで、現地の医療需給が逼迫している実態を公表した。特に高度医療に用いる機器や医薬品が不足しているという。
モルドバは欧州の最貧国の1つで人口は約260万人。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の集計によると、6日時点で約40万人のウクライナ避難民を受け入れている。調査団の団長を務める広島大学大学院の久保達彦教授(公衆衛生学)はオンラインで記者会見に参加し「もともと医療リソースは限定的で、現在医療逼迫が起きている」と報告した。
不足する医薬品の例として、がん治療に用いる薬品を挙げた。これまではウクライナの製薬会社から輸入していたが、供給が停滞しているという。久保氏は「戦時でも出産を含め、平時と変わらない医療ニーズが存在する」としたうえで、「モルドバの首都キシナウに避難民が集中しており、同地の医療機関に大きな負荷がかかっている」と明かした。
JICAが3月19日に派遣したこの調査団は、モルドバの保健省や世界保健機関(WHO)、各国の災害医療チームと協力し、避難民受け入れに伴う医療・公衆衛生面への影響や必要となる支援ニーズを調べている。久保氏は「2011年の東日本大震災で得られた教訓などを生かして、本部の情報管理をはじめとする災害医療体制構築を支援したい」と話した。
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