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「データが新たな資本に」野口悠紀雄氏

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我々は手のひらにあるデジタル端末で日々連絡を取り合い、ネット通販で購入し、デジタルコンテンツを消費している。現代生活の根底をなす経済のデジタル化は資本主義のあり方をどのように変え、どんな問題をはらむのか。一橋大学の野口悠紀雄名誉教授に聞いた。

野口悠紀雄氏(のぐち・ゆきお) 63年(昭38年)東大工卒、64年大蔵省(現財務省)入省。72年エール大で博士号取得。一橋大教授、東大教授、スタンフォード大客員教授など経て11年より早大ファイナンス総合研究所顧問。79歳

「企業価値の大半はビッグデータ」

――現在の資本主義の特徴をどう捉えますか。

「もうけを生む資本そのものが変わってきた。従来は製造業における物的な施設が主な資本だった。いまや機械でも工場でも不動産でもなく、データが利益を生み出している『データ資本主義』だ」

――データ資本主義の到来は何を意味しているのでしょう。

「従来、デジタル技術は格差を解消する方向に作用すると考えられてきた。1980年代のパソコン、90年代のインターネットの登場により、零細企業や個人が大企業と同じ土俵に立てるようになると思われていた」

「だがグーグルなど『GAFA』が代表するプラットフォーム企業は無料サービスと引き換えにビッグデータを収集し、ターゲティング広告で巨額の利益を稼ぐようになっている。グーグルの親会社アルファベットやフェイスブックの企業価値の大半はビッグデータの価値が占めていると試算できる。他の企業がGAFAと同じことをやろうとしても難しく、収益力格差は固定化した」

――「新たな独占」に我々はどう向き合うべきでしょうか。

「米国におけるかつての石油業界など従来型の独占企業は価格をコントロールし、独占的な利潤を生むことが問題だった。そのため米スタンダード・オイルは独占禁止法による企業分割の対象となった。GAFA型の『新たな独占』は違う。検索など多くのサービスはそもそも無料で提供され、市場支配力があるわけでない。独禁法の想定と全く違うタイプの問題が生じている」

「もっとも、GAFAと非GAFAの利益格差そのものは重要な問題ではないと思う。自由競争の結果であるためだ。例えばいまや検索エンジンでグーグルが圧倒的な地位を占めているが、2000年ごろはたくさんの検索エンジンがあった。規制や政府援助によってグーグルが生き残った訳ではない。競争を通じて生き残ったのがグーグルだった」

「問題の本質はプライバシーへの懸念」

――それでは、問題はどこにあるのでしょう。

「データ資本主義の問題の本質はプライバシーだ。ビッグデータを元に、利用者の属性を精緻に推計できることがプライバシー侵害に当たりうる。データ漏洩の心配もあるし、属性情報が選挙活動に使われることもある」

「プライバシーを巡る懸念は、ビッグデータを集めやすい中国のプラットフォーム企業の方がより深刻だろう。その一角であるアリババ集団はキャッシュレス決済の取引データを通じて利用者属性を推計できるようになった。信用力が就職などにも使われるとさまざまな問題が生じてくる」

――欧州連合(EU)は、厳しい個人データ保護規則の一般データ保護規則(GDPR)を施行しました。

「プライバシー保護の観点では実効性のあるものにはならないだろう。例えばデータ収集に対する同意確認を厳格化したとしても、我々はいまや、検索サービスなしで仕事を進められない。いや応なしに同意せざるを得ない。我々は『トロイの木馬』を城中に招き入れてしまったので、追い出すことなどもう不可能だ。プライバシー保護という難しい問題に対する答えはまだみつかっていない」

記者はこうみる「利益分配、求められる知恵」 竹内弘文


 ビッグデータが新たな資本としてお金を生み、稼いだお金を投じてまたビッグデータを収集する。この新たな資本拡大サイクルに成功したGAFAは株式市場での存在感を高めてきた。野口氏の「データ資本主義」は、現在の経済を鮮やかに説明する。データ蓄積を通じた「独占的利潤」そのものは問題ではなく、従来型の独占禁止法での対応はなじまないという主張も一理ある。
 ただ、欧州連合(EU)の欧州委員会は、検索サービスなどの競争環境をゆがめているとしてグーグルに競争法(独占禁止法)に基づく制裁金支払いを命じてきた。米国のリベラル派にはGAFA分割論が浮上する。国境をまたぐデジタルサービスから生まれた税収をどう各国に分配していくか、という「デジタル課税」も税務当局間の協議で大きなテーマだ。
 プラットフォーム企業の存在感が一段と大きくなるなか、データが生む利益を巡って国家主権と衝突する場面は避けられない。自由競争と政策介入との間でどう最適なバランスをとるのか。新たな知恵が求められている。

「逆境の資本主義」 1月1日連載スタート

日本経済新聞は1月1日、連載企画「逆境の資本主義」を始めます。資本主義の歴史を振り返りつつ、その未来を考えます。様々な課題に直面する資本主義の処方箋を探るべく、取材班は世界各地に足を運びました。専門家へのインタビューや豊富なデータ、現場の映像を交えて、資本主義の行方を探っていきます。

▼連載開始に先行してインタビュー記事を公開しています。

洗練された「知」の経済へ グリーンスパンFRB元議長

「貨幣が基礎、倫理と公共性必要」岩井克人氏

「金融危機からの回復、注目すべき」ファーガソン氏

「経済拡大と分配の両立を」米投資家レイ・ダリオ氏

「環境、『タダ乗り』防止へ市場活用を」伊藤隆敏氏

「AI時代、組織で知識生む仕組みを」松原隆一郎氏

「年齢にこだわらない教育が必要」小峰隆夫氏

「会社、個人ベースの組織に転換を」アメージャン氏

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