台湾、2月の輸出9.7%増、中国向け半導体がけん引
【台北=中村裕】台湾の財政部(財政省)は9日、2月の輸出額が前年同月比9.7%増の約277億㌦(約3兆円)だったと発表した。前年を上回るのは8カ月連続で、2月の輸出としては過去最高。全体の35%を半導体が占めた。特に中国向けが好調で、普及が進む高速通信規格「5G」対応の中国製スマートフォンに搭載する半導体が大きく伸びた。
財政部の蔡美娜・統計処長は9日の記者会見で、3月の輸出について「前年同月比で15~20%増になるだろう」との見通しを示した。
2月の輸出額を仕向け地別に見ると、全体の4割を占める中国大陸(香港含む)向けが14.8%増と好調だった。米国向けも半導体を中心に出荷が伸び、14.8%増だった。
新型コロナウイルスで広がったテレワークで使うパソコンやモニター、家庭用ゲーム機など在宅需要がなお大きく、こうしたIT(情報技術)製品に搭載する半導体や液晶パネルなど部品の輸出が好調だ。
IT部品は急な需要拡大に供給が追いつかず、価格が上昇傾向だ。輸出主導型の台湾経済は当面、世界のデジタル需要に支えられ、堅調に推移しそうだ。