入管庁、技能実習先の企業に注意喚起 岡山で暴行疑い
岡山市の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生の男性が、職場で2年間にわたり暴行・暴言を受けていた疑いが発覚したとして、出入国在留管理庁は25日、全国の実習先企業や受け入れ窓口「監理団体」に対し、実習生への人権侵害がないか確認するよう注意喚起したことを明らかにした。
古川禎久法相は25日の閣議後記者会見で「技能実習生に対する暴行などの人権侵害は決してあってはならず、入管庁に対して速やかに対応するよう指示した」と説明した。
暴行を受けたとされる男性の勤務先企業や監理団体には、法務省と厚生労働省が所管する認可法人「外国人技能実習機構」が技能実習法に基づき改善を勧告したという。同法は重大・悪質な法令違反があった企業や監理団体に対する許可・認定の取り消しなどの行政処分を定めており、入管庁などが該当する違法行為の有無を調べる。男性の同僚の実習生には勤務先変更などの支援をしているという。
男性は17日に岡山市内で記者会見した。2019年秋に来日し、働き始めて1カ月ほどで職場での暴行が始まったという。男性側が示した動画には、作業中にほうきのようなもので頭や顔をはたかれる場面や、日本語での受け答えが十分でないなどとして体を殴られる場面があった。
技能実習制度を巡っては、暴行や賃金不払いなどの問題が後を絶たず、米国務省に「借金に基づく強制労働」と指摘されるなど国内外から批判を浴びてきた。入管庁によると、技能実習法が施行された2017年11月以降に認定取り消しとなった実習先企業は約240社。許可取り消しとなった監理団体も30団体ある。
古川法相は今月14日、技能実習や19年に創設した在留資格「特定技能」について制度の在り方を見直す勉強会を設けることを発表している。