「圧力に屈せず」中国主席、米を強くけん制
【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は23日、朝鮮戦争への義勇軍派遣70年を記念する大会で演説した。米国を念頭に「覇権主義は必ず破滅に向かう道だ」と述べた。「極限まで圧力をかけるやり方は全く通用しない」とも強調し、米国批判をくり広げた。
大会は北京市の人民大会堂で開き、中国国営中央テレビ(CCTV)が中継した。習氏は米国と戦い、北朝鮮を助けたとする政治スローガン「抗米援朝」を約20回くり返し、北朝鮮とは「血で固めた偉大な友好」と連携をアピールした。
米国をけん制する習氏が特に懸念しているのは米国の台湾問題への介入のようだ。
トランプ米政権は台湾に空対地ミサイルなどを売却する方針を決めたばかり。習氏は「祖国の神聖な領土の分裂」を企てる勢力には「必ず正面から痛撃を加える」と警告した。
習氏は中国の人民解放軍をさらに強くする考えも強調した。「国防と軍隊の現代化をさらに加速することが必須だ」と語った。「世界一流の軍隊をつくる」考えを示した。
式典には参戦した「人民志願軍」元兵士や、人民解放軍の現役兵士らがマスク姿で出席した。冒頭、約20万人に上る戦没者に黙とうをささげた。
2010年の60年を記念する際は、当時の胡錦濤(フー・ジンタオ)指導部は大会より格下の「座談会」を開いた。胡国家主席(当時)の演説も見送っている。当時は米中関係が安定しており、米国への刺激を避ける思惑があったとされる。
対米批判を強める習指導部と温度差があるのが北朝鮮だ。
北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が中国人民志願軍烈士陵園と毛沢東主席の長男で朝鮮戦争に参加して戦死した毛岸英氏の墓を訪れて献花したと伝えた。
金正恩委員長は「中国人民志願軍の参戦は戦争の偉大な勝利に歴史的な寄与をした」などと述べたとされるが、対米批判は抑えた。11月の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領に配慮した可能性がある。
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