元徴用工で解決策要求 日韓局長が対面協議
30日に韓国判決から2年
【ソウル=恩地洋介】韓国を訪問中の外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長は29日、韓国外務省の金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長と協議した。日本側は韓国最高裁の判決から30日に丸2年となる元徴用工訴訟に関し、日本が受け入れ可能な解決策を講じるよう求めた。
対面で開く日韓外務省局長級協議は2月以来、約8カ月ぶり。日韓は8日から新型コロナウイルスの陰性証明や行動計画を条件にビジネス目的の往来を再開した。滝崎氏はこの枠組みを使って訪韓した。
元徴用工訴訟を巡っては韓国の裁判所が原告側が差し押さえた企業資産の売却命令へ手続きを進めている。日本の外務省によると、滝崎氏は「現金化は極めて深刻な状況を招くので絶対に避けなければならない」と伝えた。
韓国側は年内にソウルで日中韓首脳会談を開きたいとの意向を示した。日本側は元徴用工問題で進展がない限り、菅義偉首相の訪韓は難しいという立場を示したとみられる。
日韓局長は外交当局間の意思疎通を続けていく方針も確かめた。韓国側は日本が強化した半導体材料の輸出管理措置を早急に撤回するよう求めた。
滝崎氏は李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長とも協議し、北朝鮮情勢を巡り意見を交わした。
首相は26日の所信表明演説で「健全な日韓関係に戻すべく、わが国の一貫した立場に基づいて適切な対応を強く求めていく」と強調した。