中国、「独自開発」の新型原発稼働 福建省
【北京=多部田俊輔】中国国有原子力発電大手の中国核工業集団は27日、中国が独自開発したとしている新型原発「華竜1号」が初めて稼働したと発表した。これまで中国は欧米から導入した原発を中心に利用してきたが、今後は独自開発の原発の建設を加速し、海外への輸出にも力を入れる方針だ。
中核集団の福清原発(福建省)の5号機が発電を始めた。華竜1号は米仏の加圧水型軽水炉(PWR)をベースに、中核集団と中国広核集団が独自に開発したと主張する第3世代原子炉だ。15年に工事を始めた。試運転を経て、近く商業運転に移行する見通し。
華竜1号は2層の格納容器を採用しており耐震強度が高く、国際的にも最高の安全基準を満たしたという。同社は「原発技術での外国の独占を打ち破り、同分野で先進国入りを果たした。『原発強国』の実現に向けて重要な意義を持つ」としている。
原発は習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げるハイテク産業育成策「中国製造2025」の重点領域だ。58社の国有企業と140社余りの民営企業を中心に5千社余りのサプライチェーン(供給網)を構築しており、重要部品を含めて国産化率は85%超に達したという。
中国メディアによると、中国で稼働中の原発は約50基で、発電能力は約5千万キロワット。現在は福清の5号機のほか、国内で7基前後の華竜1号を建設している。さらに当局から4基の建設許可を得て、着工に向けて準備を進めている。
習近平指導部が掲げる広域経済圏構想「一帯一路」でも重要な役割を担う。パキスタンで華竜1号の建設を進めており、近く完成する見通し。さらに英国やアルゼンチンなどへの輸出をめざして輸出先での許認可手続きを進めている。
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