逆境から生まれたアート(10) レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」
アート・エデュケーター 宮本由紀
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ヴァザーリが記した芸術家伝記集に、レオナルドに関する次の様な一節がある。制作中の「最後の晩餐(ばんさん)」を前に、半日もぼんやり物思いに耽(ふけ)るレオナルドの姿を異様に感じた修道院の院長が、早く絵を完成させるよう懇願した。対するレオナルドはこう答えた。「優秀な人物は実際に作業をしている時より、頭の中で考えている時にこそ多くの仕事をしているのだ」
レオナルドは、40代半ばまで画家としての代表作を...
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