台湾半導体素材のグローバルウェーハズ、独社買収へ
シリコンウエハーで世界2位に
【台北=中村裕】シリコンウエハー世界3位の環球晶円(グローバルウェーハズ)は30日、競合する同4位の独シルトロニックを買収することで最終調整に入ったと発表した。買収額は約45億ドル(約4700億円)になる見込み。SUMCOを抜き、世界首位の信越化学工業に次ぐ世界2位のメーカーに躍り出る。
グローバルウェーハズの経営トップである徐秀蘭董事長は30日、電話会見し「両社は来週、正式に合意する」と語った。
グローバルウェーハズがシルトロニックにTOB(株式公開買い付け)を実施する。シルトロニック株の先週末の27日終値に約11%のプレミアムを上乗せした1株当たり125ユーロ(約1万5550円)を提示した。既に約30%を保有する筆頭株主の独ワッカー・ケミーと大筋で合意している。シルトロニックも声明で提案について「魅力的で適切だ」と語った。
シリコンウエハー業界(主力の直径300ミリメートル)では信越化学が世界首位で、約3割のシェアを持つ。グローバルウェーハズが今回の買収で2位となり、3割弱のシェアを握る見通しだ。グローバルウェーハズは世界6位だった2016年当時、世界4位の米サンエジソン・セミコンダクターの買収に成功した。約6億8300万ドルの買収で、業界3位にのし上がった経緯がある。
徐董事長は「今回の買収を嬉しく思う。市場は現在、需給が逼迫しており、買収で生産能力の拡大を一段と早めることができる」と語った。
台湾経済研究院で半導体アナリストを務める劉佩真氏は「今回の買収でシリコンウエハーの世界の8割は、日本と台湾企業が独占することになる。台湾の半導体企業の影響力が一段と高まり、供給力が強化される」と語った。グローバルウェーハズの19年12月期の売上高は580億台湾ドル(約2100億円)だった。
シリコンウエハーは最も重要な半導体の基礎材料。シリコンを溶かして円柱状の塊にし、薄く切断したのち研磨してウエハーをつくる。ウエハー表面に電子回路を形成して細かく切断すると、半導体チップが完成する。