米新興通販ウィッシュが上場申請 時価総額3兆円超も
【シリコンバレー=白石武志】安さを強みに若年層に人気の通販アプリ「ウィッシュ」を手掛ける米コンテクストロジックは20日、米ナスダックに上場申請したと発表した。月間利用者数は1億人を超え、米アマゾン・ドット・コムを追い上げる存在として注目を集めている。上場時の時価総額は最大300億ドル(約3兆1000億円)になるとの予想もある。
コンテクストロジックは米グーグル出身のエンジニアらが2010年に設立した。本社をサンフランシスコ市に置く。アマゾンが幅広い品ぞろえや配送スピードを強みとしているのに対し、ウィッシュは配送に時間がかかっても安く提供できるアジア製の雑貨類を豊富にそろえ、価格に敏感なミレニアル世代(20~30歳代)を取り込んでいる。
20日に米証券当局に提出した上場申請書類によると、2020年1~9月期の月間利用者数は平均で1億800万人と前年同期の1.3倍に増え、売上高も32%増の17億4700万ドルとなった。ただネット通販市場の競争は激しく、最終損益は1億7600万ドルの赤字と前年同期の1200万ドルの赤字から大幅に悪化した。
人工知能(AI)を使い50万を超える出店者の中からユーザーの興味にあわせた商品を表示する技術に強みがあり、過去にはアマゾンから買収提案を受けている。英フィナンシャル・タイムズによると19年に資金調達した際の企業価値は112億ドルと評価されており、関係者は上場時の時価総額として250億~300億ドルを目指しているという。