米ファイザー、ワクチン治験結果を大統領選前に公表せず
【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、最終段階の臨床試験(治験)の結果が11月3日の大統領選前に公表されないことが明らかになった。同社は10月末までに最終治験でワクチンの有効性を確認できるとしてきた。ただ、それから少なくとも1週間程度は治験結果を精査する必要があり、結果を発表しない方針だ。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)が、27日に開かれた決算説明会で指摘した。10月末までにワクチンの有効性が判明する見通しだが、少なくとも1週間は結果を公表しないため大統領選に間に合わないことになる。米食品医薬品局(FDA)への緊急使用許可の申請は、11月第3週以降を予定している。
ブーラCEOは「公衆衛生と政府のためにも、忍耐強く待ちましょう」と述べた。新型コロナワクチンをめぐっては、トランプ米大統領が大統領選で成果をアピールするため供給を急いでいる。22日の討論会では「数週間で供給できる」と話していた。
ファイザーは最終段階の治験について、26日までに4万2千人以上の治験参加者の登録が完了し、すでに3万6千人が2回目のワクチンを接種したと発表した。これを受けて治験参加者の規模を、当初目標の3万人から4万4千人に拡大した。
27日発表した2020年7~9月期の売上高は、前年同期比4%減の121億ドル(1兆2600億円)だった。新型コロナの感染拡大が続くなかで病院の診察件数は減っており、一部処方薬の売り上げが落ち込んだ。純利益は71%減の21億ドルだった。前年計上した事業売却益がなくなったことが響いた。