岸田氏、経済安保の担当相新設 経済政策を発表
自民党の岸田文雄前政調会長は8日、国会内で記者会見し、党総裁選に向けた経済政策を発表した。半導体などの重要物資の確保や技術流出の防止に関する「経済安全保障推進法」を定めると表明した。担当閣僚を新設し、国家戦略を策定すると打ち出した。
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経済政策の理念として「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換する」と話した。規制改革や構造改革だけでは格差の拡大を招くと指摘し、分配にも重点を置く方針を示した。
目標として掲げる「令和版所得倍増」を巡り看護師らの所得の引き上げを実現するために「公的価格評価検討委員会」を設置すると提起した。
「最重要課題はデフレ脱却だ」と言明し、当面は大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3本柱によるマクロ経済政策を維持すると説いた。新型コロナウイルス対応で積極財政を促す一方、財政健全化の旗も堅持する姿勢を訴えた。
新型コロナ後の経済社会のビジョンをつくる「『新しい日本型資本主義』構想会議」を設けるとも唱えた。
原子力発電の活用を巡っては「新増設の前に既存の原発の再稼働をしっかり進めていくのが大事だ」と話した。
「働き方に中立的な社会保障や税制を整備するのが必須だ」とも言及した。正規・非正規にかかわらず企業で働く全ての人が社会保険に入る「勤労者皆社会保険」の実現を力説した。
科学技術分野の知見も政策に取り入れる。岸田氏は外相時代、外務省に科学技術顧問を設けた。全省庁に同様の顧問を置き、首相直属の首席科学技術顧問も任命する案を提示した。半導体や人工知能(AI)などへの投資減税も強化する。
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菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選には河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4氏が立候補。9月29日に投開票され、岸田氏と河野氏の決選投票の結果、岸田氏が新総裁に決まりました。岸田氏は10月4日召集の臨時国会での首相指名選挙を経て第100代首相に就任しました。