住友商事、米シェールガスから撤退 権益を売却
住友商事は7日、米ペンシルベニア州で手掛けていた天然ガス開発プロジェクト「マーセラス・シェールガス」で保有していた約30%の権益すべてを売却したと発表した。売却額は百数十億円とみられ、これで米国でのシェールガス開発から撤退することになる。
権益を買収した当時との差額を考えて数十億円の赤字となるが、すでに今期の業績予想に織り込んでいるという。売却先は公表していないが、米国企業とみられる。
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住商は現在もテキサス州でシェールオイルの開発権益を保有しているが、米シェールガス開発で保有していた権益はマーセラスだけだった。米国内ではシェールガスの増産が進み、価格が下がって投資時に期待していた収益を確保できない状態が続いていた。
ペンシルベニア州を含む米国の北東部にある4州には広大なシェール層が広がり、同国を代表するガス産地の1つとなっている。住商は合計で約175億円を投じて権益を取得し、2010年から開発プロジェクトに参入していた。
住商は21年3月期の連結最終損益を過去最大の1500億円の赤字(前期は1713億円の黒字)と見込む。新型コロナウイルスの感染拡大などで資源や鋼材など幅広い事業の損益が悪化し、計2500億円の損失が出る。立て直しのため、資源など投資案件の見直しを急いでいる。
一方で、欧州の北海油田では石油・ガス開発を続けている。「今後もガス開発で有望な案件があれば、投資を検討していく」という。
(安藤健太)