神奈川県、最大30万円の休業支援金 東京都と額に開き
神奈川県は14日、店舗や施設などへの休業要請に協力した事業者に対して「協力支援金」を支給すると発表した。家賃負担がある事業者に重点的に支援し、1事業者あたり最大で30万円を支給する。休業要請の実効性は一定程度高まりそうだが、東京都の支援に比べ金額に格差がある。事業者からは「とても足りない」との声も上がっている。
県内に事業所があり、要請を受けて休業したり、営業時間を短縮したりした中小企業や個人事業主に支払う。事業者が複数の事業所を賃貸している場合は30万円、1事業所を借りている場合は20万円支給する。家賃負担がない事業者には10万円支給する。休業によって固定費の家賃負担が重くなるのに対応した。
財源は国が緊急経済対策に盛り込んだ、総額1兆円に上る地方自治体への臨時交付金を見込む。神奈川県への割当額は不明だが、協力支援金の総費用は120億円、対象は8万事業所を想定している。「できるだけ早く支払うために国の交付金を待たずに支援をおこなう」(黒岩祐治知事)。臨時交付金で不足した場合は2019年3月末時点で591億円ある県の財政調整基金を取り崩す。
支援金の申請期間は5月7日から同月末で、原則郵送で受け取る方針だ。休業の様子を映す写真や誓約書などの提出を求めるという。虚偽の申請だった場合は返還を求めるという。申請は殺到することが予想される。迅速な交付を実現するには、庁内で書類審査などを円滑にこなす体制の整備も必要になりそうだ。
交付対象の線引きについても丁寧な説明が求められそうだ。県は休業要請する対象業種について東京都と同一にしている。東京都は13日に詳細な対象業種を公表、県もこれに追随して歩調を合わせるというが、都の基準には「古本屋には要請するが、本屋にはしない」など、線引きが分かりにくい部分もある。
休業要請に伴う事業者への支援については当初、収益低下の程度に応じて支払う「補償」の是非が焦点だった。これまで黒岩知事は全国知事会などを通じて「国が休業補償をすべきだ」と主張してきたが、国に難色を示され、代替案として臨時交付金を活用して事業者に一律的に「支援」をする形に落ち着いた。
東京都は協力事業者に対して1店舗の場合は50万円、2店舗以上の場合は100万円の協力金を支給する方針を先行して示している。
黒岩知事は東京都との支援の差については「申し訳ない気持ちでいっぱいだが、財政状況の厳しさの中ではこれがギリギリだ」と理解を求めたが、事業者の反応は冷ややかだ。
休業を続けている神奈川県茅ケ崎市のライブハウス経営者は、20万円を受け取れる見通しだが「家賃の支払いにも足りない」とこぼす。横浜市内のミニシアターは8日から休館。少しでも売り上げを確保しようと再開後のチケットを先行販売するなど知恵を絞る。支配人は「(補償では)とても足りない。お客さんに支えてもらうしかない」と話す。
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