中国、豪産石炭の通関に遅れ 関係悪化が背景か
【北京=多部田俊輔、シドニー=松本史】中国でオーストラリア産石炭の通関手続きに遅れが出ていることが13日、明らかになった。中国の国有発電大手関係者が「税関当局の指導を受け、発電用の石炭の輸入手続きに支障が出ている」と述べた。中国の税関当局は同日、輸入管理を強化していることを認めた。
今年に入り中豪関係は悪化しており、今回の中国側の措置でさらに緊張が高まる可能性がある。
中国の税関当局の報道官は13日の記者会見で、豪州からの石炭などの輸入手続きに支障がでていることについて、「(豪産石炭などの)関係する産品の輸入の監督管理をさらに強化している」と、水面下で輸入手続きを遅らせていることを示唆した。
海外メディアは、中国当局が豪産石炭を使用しないよう発電所などに口頭で指示していると報じた。製鉄向けの石炭の一部についても輸入に支障が出ているという。中国の石炭の輸入会社は「豪州からの輸入が止まっているのは、国内やインドネシアなどからの代替輸入が可能な品位の石炭だ。支障の解消時期は分からない」としている。
中国メディアによると、中国の2019年の石炭の消費量は約28億トンで、輸入量は約1割の約3億トン。豪州からの輸入量は7700万トンで、インドネシア(約1億3700万トン)に次いで国別で2位。20年も約3億トンの輸入が見込まれており、豪州との関係悪化が続けばインドネシアのほか、3位のモンゴル、4位のロシアからの輸入を増やす可能性もある。
豪州のバーミンガム貿易・観光・投資相は13日、豪ラジオ番組に出演、「豪州の資源企業とは連絡を取っている。中国当局にも返答を求めている」と述べた。
豪州が4月、新型コロナウイルスの発生源に関して独立調査を求めたことに中国は反発している。5月に豪産食肉の輸入を一部停止、大麦に80%を超える追加関税を課した。8月には豪産の輸入ワインを対象に反ダンピング(不当廉売)調査も開始している。関係悪化の影響が農産品だけでなく資源・エネルギー分野にも広がり始めた。
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