検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

中国フィンテック2強が描く5つの成長戦略

詳しくはこちら
CBINSIGHTS
中国にフィンテック事業の価値が1000億ドル(約10兆円)を超える企業が2社ある。ネット通販大手アリババ集団の金融子会社アント・フィナンシャルと、中国ネット大手、騰訊控股(テンセント)のフィンテック事業だ。両社は約9億人といわれる決済サービス利用者のデータを駆使して金融サービスに誘導している。世界のフィンテックの動向を占う上でも重要な2社の成長戦略をCBインサイツが分析した。

アント・フィナンシャルの企業価値は1500億ドルに上る。一方、テンセントのフィンテック事業も価値が1000億ドルを超えているとみられる。英金融大手バークレイズは2019年5月、テンセントのフィンテック事業の価値を推定1230億ドルとしたリポートを発表した。これはテンセントの時価総額の3分の1近くに及ぶ。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

テンセントはフィンテックと法人サービス事業(クラウドやBtoBサービス)の業績をひとくくりにしているが、フィンテックは今やソーシャルメディア・ゲーム大手の同社の成長をけん引している。19年4~6月期のテンセントのフィンテック・法人サービス部門の売上高は前年同期比37%増だった。一方、オンライン広告部門の売上高の伸びは16%で、前の四半期の25%から鈍化した。

アントとテンセントはともにデジタル決済を利用する大勢の顧客を融資や資産運用、保険、信用スコアなどの金融サービスに誘導する成長戦略をとっている。

世界のフィンテック界を見ると、中南米のメルカドパゴ(MercadoPago)やインドのフォーンペ(PhonePe)など決済サービスからフィンテック分野のスーパーアプリへの移行を目指すプラットフォームが増えている。アントとテンセントの動きはこうした世界各地の次の動向を占う上でヒントになるだろう。

1.弾み車(フライホイール)効果

アントとテンセントのフィンテック戦略のカギは、中国で8億~9億人に上る決済サービスの利用者をさらに利益率の高い金融サービスに誘導し、強力なフライホイール効果(好循環)を築くことにある。

中国のモバイル決済市場の19年4~6月期の取引額は7兆8000億ドルに上り、両社がこの市場を引き続き支配している。アントのモバイル決済サービス「支付宝(アリペイ)」は54.2%、テンセントの同サービス「微信支付(ウィーチャットペイ)」は39.5%のシェアを握っている。

決済市場は成熟しているため、両社は金融機関がもっとニーズに合った商品を開発できるよう支援するために、テクノロジーや利用者の行動分析を提供している。

これは既に大きな成長につながっている。アントは19年9月の決算発表で、金融サービス事業の売上高が決済事業を上回り、売上高全体の半分以上を占めたことを明らかにした。

特に重要なのが、19年6月時点でアントの金融サービスを3つ以上利用している顧客の割合が8割、5つ利用している顧客が4割に上った点だ。これは時が経過するにつれてアントの信用が高まり、利用者の財布に占める同社のサービスの割合が高まっていることを示している。

2.オンラインクレジットを日常生活の一部に

アントの短期分割払いサービスは若い利用者の日常生活に浸透している。

中国の「ミレニアル世代(1981~96年生まれ)」とその下の「Z世代」は普段の買い物(化粧品、衣料品、食品)でも高額商品の購入(カメラやスマートフォン)でも借金への抵抗が薄く、年上世代とはお金の使い方が異なる。

一定期間無利子になるアントの融資サービス「花唄(Huabei)」は19年に大きく成長し、15年4月のサービス開始以来の融資額は1兆元を突破したとされる。これは17年6月末時点の融資残高の10倍に上る。

テンセントも「分付(Fenfu)」という自前のオンラインクレジットサービスを開発中で、19年10~12月にウィーチャットペイ内で提供に乗り出すとみられる。普通銀行が発行するテンセント利用者向けのデビットカードやクレジットカードを除くと、これはテンセントが提供する初の決済オプションになる。テンセントのオンラインクレジット決済への事業拡大は、顧客をさらなる金融商品に誘導する上で大きな役割を果たすことになりそうだ。

3.医療保険を重視

アントとテンセントにとって重要性が増しつつあるのが医療保険分野だ。

中国政府が保障型の保険商品の開発を後押しする政策を相次いで打ち出しているため、18~23年に中国の医療保険市場は年率20%の成長を遂げるとみられている。一方、23年の長期医療保険の保険料額のシェアは医療保険全体の65%を占めると予測されている。

テンセントとアントは地方の小都市や農村部で医療保険の普及を促すため、共済保険プラットフォームに出資したり、参入したりしている。

テンセントは加入者が8000万人に達した共済保険スタートアップ、水滴(Waterdrop)に出資している。加入者は月額3~5元の保険料を支払い、高額医療費がかかった場合に最大30万元を受け取る。同社は16年のサービス開始以来、4000人以上に支援を提供している。

水滴は17年5月、保険プラットフォーム「水滴互助」を開設した。このプラットフォームでは80以上の保険商品を販売し、加入者は1200万人以上に上る。同社によると、そのうち9割がネットで保険を購入するのは初めてだという。19年7月の保険料等収入は8300万ドルを超えた。

一方、アントは18年10月、地方都市を対象にした自前の共済保険プラットフォーム「翔胡宝(Xiang Hu Bao)」を開設した。加入者は8000万人を突破している(アントの商品カテゴリーで最も急成長を遂げている)。アントは決算発表で、翔胡宝をスタートして以来、アントが提供する従来の医療保険の売り上げも増えたことを明らかにした。

テンセントとアントは拡大しつつある医療保険全般に出資している。テンセントは中所得層のファミリーを対象にオンラインで保険のプランニングや金融教育のコースを提供する小帮(Xiaobang)に投資している。利用者がコースを修了すると、意識の高い利用者にはコンサルタントが付き、プロフィルに応じた保険プランを調整する。

テンセントは自前のネット保険サービス「微保(WeSure)」も手掛け、19年5月には中国の保険大手、泰康人寿と共同で低価格の医療保険を発売した。この新しい商品は1年間の保険期間が満了した後も、審査不要で6年間保証してくれる。

4.市場を拡大するために、貯蓄と投資のオプションを増やす

アント・フィナンシャルが手がける投資商品「余額宝(Yu'e Bao)」は、加入者が6億人を超える世界最大のMMF(マネー・マーケット・ファンド)だとうたわれている。だが、19年9月の資産額は18年3月のピーク時から39%減り、最大のMMFの座を失った。

もっとも、これはアントにとって悪いことではない。同社はオープンプラットフォームのモデルに移行しており、単一のファンドから十数のファンドを扱うプラットフォーム事業へと多様化しつつあるからだ。

例えば、米系運用会社インベスコは5月、中国の合弁事業インベスコ・グレート・ウォール(IGW)の資産額が18年6月に余額宝に加わって以来4倍に増え、315億ドルに達したことを明らかにした。

テンセントも資産運用各社との連携を深めようとしている。テンセントの資産運用プラットフォーム「理財通(Licaitong)」は資産額が1120億ドルに増えており、米資産運用大手ブラックロックの商品を中国市場で扱うために同社と提携について協議しているとされる。

5.中小企業に注力

中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁によると、中国の全ての企業のうち中小企業は9割を占め、国内総生産(GDP)への寄与度は6割を超える。

中国のフィンテック大手は中小企業向けの金融商品を拡充しつつある。アント・フィナンシャルが出資するネット銀行「網商銀行(MYbank)」はQRコードを使って領収書をスキャンし、納入業者から税務情報を得る新たな融資サービスに乗り出した。

領収書からより多くの情報が入手できるようになるため、この新たなサービスはわずか数分で中小企業に従来よりも多額の融資を実行できるようになるという。

年次報告書によると、網商銀行は18年末までに中小企業や未公開企業のオーナー1230万人に融資を実行した。

テンセントの出資を受けているネット銀行「微衆銀行(WeBank)」も、中国の中小企業への融資を拡大している。企業価値が推定210億ドルの同行によると、中小企業の顧客(従業員は平均10人)の66%が初めて金融機関から融資を受けるという。

これは膨大な顧客基盤と技術力をテコに金融機関を取り込んだアントとテンセントのフィンテック戦略のさらなる事例だ。特に、網商銀行は中国国内の40以上の銀行と提携しており、資金の最大8割を利益共有協定によりこうした提携銀行から回収している。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_