世論調査不正「重大違反」 BPO、フジテレビに
フジテレビと産経新聞社の合同世論調査データ不正問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、フジテレビが業務を委託先の調査会社に任せ切りにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年以上にわたり放送したことは「重大な放送倫理違反があった」とする意見を発表した。
検証委は不正の背景として、フジテレビが委託先の調査実態を把握せず、担当局員を1人しか配置しなかったことなどチェック体制の薄さのほか「世論調査の重要性を認識しつつも"慣れ"の中で業務が続けられていた」と指摘した。
世論調査は「民主主義社会における支柱の一つ」と位置付け、不正は「市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない」と厳しく批判した。
フジテレビなどは2020年6月、19年5月~20年5月の調査14回分で架空データの入力があったことを公表。調査結果と関連する放送を取り消した。今年1月、調査への立ち会いなど再発防止策を策定、中止していた調査の再開を発表した。
フジテレビは「(BPOの意見を)極めて重く、かつ真摯に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしてまいります」とコメントを出した。〔共同〕