中印が影響力競うスリランカで議会選 6日中にも大勢
インド洋の島国スリランカで5日、議会選(一院制、定数225)の投票があった。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の支持勢力が第1党となれるかが焦点。同氏は親中派とみられていたが、インドとの関係も重視する姿勢を示す。開票は6日朝に始まり、同日中にも大勢が判明する見通しだ。
改選前の議会は隣国インドや欧米との融和を訴える統一国民党(UNP)が第1党。これをラジャパクサ氏の兄で首相のマヒンダ・ラジャパクサ氏が党首を務めるスリランカ人民戦線(SLPP)が追い上げる展開。マヒンダ氏は2015年まで大統領を務め、中国から多額の支援や融資を得た親中派で知られる。
ラジャパクサ政権への信任、日本人1人を含む250人以上が死亡した19年4月の連続爆破テロ後に大きく落ち込んだ経済の再建、新型コロナ対策が主な争点になった。
ラジャパクサ氏は19年11月の大統領選を経て就任すると、最初の外遊先にインドを選び、多額の支援を引き出した。議会で支持勢力を増やし、政権を安定させるため3月に議会解散を布告。議会選の投票は当初、4月の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に延期されていた。
人口約2200万人のスリランカは地政学上の要衝だ。広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国はインド洋を経て中東につながるシーレーン(海上交通路)を確保するため経済力でスリランカに影響力を行使。中国と領有権問題を抱えるインドは強く警戒してきた。
5日の投票では新型コロナ感染防止のため有権者は投票所でマスクを着用し、ほかの人と一定の距離をとるよう義務づけられた。有権者は約1600万人。