ベトナム航空 乗務員の賃金半減へ 赤字転落見通しで
【ハノイ=大西智也】ベトナム航空は乗務員の賃金について、2020年は19年の半分程度にする方針を明らかにした。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、同社は20年12月期の業績が最終赤字に転落する見通し。大株主の政府に融資などの支援を要請しており、大幅な経費削減を打ち出すことで政府の理解を得たい考えだ。
現地メディアが報じた。パイロットの平均月額賃金は前年比52%減の7700万ドン(約35万円)とする。客室乗務員と地上職員の賃金もそれぞれ48%、45%減らす。ベトナム航空は運営コストを前年比で68%減らす方針を示しており、人件費カットが柱になる。
ベトナム航空は20年12月期に15兆ドン(約690億円)の赤字になる見通し。国際線の再開に時間がかかっており、ズオン・チー・タイン最高経営責任者(CEO)は「支援がなければ8月末までに非常に困難な状況になる」として、7月に政府に12兆ドンの緊急融資を要請している。
国際線の再開を模索しているが、実現に至っていない。7月下旬から感染「第2波」に見舞われており、国内線の利用者も足元で大幅に減少しているもよう。長期化すれば業績は一段と悪化する可能性がある。
同社は株式の86%をベトナム政府が保有し、ANAホールディングス(HD)も10%弱を出資する。ベトナムは新型コロナの封じ込めを目的とした不要不急の外出禁止措置を4月23日に解除した。7月下旬に新たな感染者が中部の観光都市ダナンで発覚後、感染者が全土に広がりつつある。
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