国連総長、気候変動対策の後退に危機感 新型コロナ優先で
【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は30日、新型コロナウイルス感染拡大で各国の気候変動問題への取り組みが後回しになっていることについて、「温暖化ガスの排出量低下などに向けた努力に遅れが出てはいけない」と危機感を示した。新型コロナ収束後の「経済再生には気候変動対策が不可欠だ」と訴えた。
世界気象機関(WMO)は新型コロナの影響による経済活動停滞で2020年の排出量は前年比6%低下すると推測している。しかし、グテレス氏は「行動をとらなければ、今まで通りに排出は増え続ける」と警告した。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は19年に観測史上で最高レベルに達している。
11月に開催予定だった国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は延期されるが、グテレス氏は「CO2排出のネットゼロに向けて国別削減目標(NDC)の強化」を求めた。
新型コロナの影響に対応する経済支援策には製造業やエネルギー産業をより環境に優しい方向に進める「グリーンジョブ」の雇用創出などを盛り込むよう呼びかけた。また、支援策では化石燃料企業を対象にせず、温暖化ガス排出に課税する「炭素税」の開始を求めた。
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