アジア開銀も脱炭素 石炭火力へ融資停止検討
【マニラ=志賀優一】アジア開発銀行(ADB)が石炭火力発電所の新設などへの融資を今後停止する検討に入ったことが7日わかった。世界的に脱炭素化に向けた取り組みが進んでいるのに足並みをそろえる。アジア・太平洋地域には化石燃料に頼る新興国・地域も多いが、再生可能エネルギーの導入を促す狙いがある。
ADBは現在エネルギー政策に関する方針を策定中で、このほど草案を公表した。環境負荷が大きい石炭火力発電所の新設へ融資しないほか、石炭や石油、天然ガスの採掘事業にも融資しない方針を示している。同行は引き続き政策を議論するため、今後方向性が変更される可能性があるとしている。
ADBは、アジア・太平洋地域の49カ国・地域を含む68の加盟国地域で構成される。新興国が多く、石炭火力発電をはじめとして化石燃料によるエネルギー供給に頼っている面もある。ADBが今後化石燃料に関連した事業に融資しない場合、再エネ導入の促進につながる一方、地域全体の電力やエネルギー供給の戦略にも影響を与えそうだ。
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