「英才」には旅をさせよ 仲邑菫を育てた勝負の環境
囲碁の闘士たち(3)
10月上旬、東京・市ケ谷の日本棋院で11歳と14歳の棋士の対局が打たれた。清楚(せいそ)な服をまとった2人だが、れっきとしたプロの初段。しかも舞台は約80人の予選を勝ち抜いてベスト16で争う女流棋聖戦の本戦トーナメントだ。勝ったのは11歳、最年少プロの仲邑菫(なかむら・すみれ)のほう。「結構良く打てた。特に緊張はしなかったです」
仲邑は小学5年になった2019年4月、史上最年少10歳でプロ入りし...
碁盤の前にかしこまり、パチリパチリと石を打つ。そんな静かなイメージを、見事に裏切るのが現代の囲碁棋士たちだ。何度打ちのめされても不屈の精神で起き上がる。小さなころから海外へ武者修行にでかけ、人間を上回る能力を身につけつつある人工知能(AI)にもひるまない。しなやかさとタフさを兼ね備えた闘士たちの姿を追う。