スルガ銀行、シェアハウス手放せば借金帳消しに
まず257人対象
スルガ銀行は25日、不正な融資で過大な借り入れをしたシェアハウスの所有者が、物件を手放せば借金の返済を免除すると正式に発表した。まず東京地裁に民事調停を申し立てていた257人を対象に、土地と建物の物納を条件に借金を帳消しにする。望めば他の所有者にも同じ措置をとる。一連の不正融資の舞台となったシェアハウス問題に区切りをつける。
シェアハウス融資を巡っては、借り入れ希望者の源泉徴収票や預金残高を改ざんしたり、契約書を偽造したりする不正行為がまん延していた。実勢価格より高値で物件を買わされていたケースも多く、返済に行き詰まる所有者が相次いでいた。これまでスルガ銀は元本の一部カットなどに応じてきたが、根本的な解決のためより踏み込んだ対応をとる。
まずスルガ銀がシェアハウス向けの貸出債権を投資ファンドとみられる第三者に売却。所有者がこの第三者にシェアハウスの土地と建物を物納すれば借金を帳消しにする。所有者にとっては債務免除益が発生するが、非課税扱いになる見通しだ。
シェアハウスの所有者は全体で1258人。今回はこのうち東京地裁に調停を申し立てた257人、343棟が対象で、対応する債務額は約440億円という。
スルガ銀はすでに一連の不正を許した企業統治不全の象徴とされた創業家との関係を融資、株式の両面から解消した。今回、シェアハウスの所有者側が求めていた物納による借金の帳消しに応じることで、不正融資で地に落ちた信頼回復をめざす。
スルガ銀は25日、2020年3月期の業績予想の上方修正も発表した。従来210億円としていた連結純利益は270億円(前期は971億円の赤字)になる。保有する美術品や遊休不動産の減損処理で約94億円の特別損失を計上するが、シェアハウス債権の売却で不良債権処理費用が減ることが最大の理由だ。
無配の予定だった20年3月期の期末配当も1株5円と2期ぶりに復配する。