「夜の街」感染やまず 飲食店主ら「一枚岩になれない」
東京都の新規感染者数が3日、2日連続で3桁になった。特に新宿エリアや池袋エリアで、接待を伴う飲食店など「夜の繁華街」の従業員らを中心に感染が広がっている。都は都民に夜の街への外出を控えるよう呼びかけているが、飲食店主らからは「店や従業員が多すぎて、一枚岩になって対策を取れない」と戸惑いの声も漏れる。
「従業員に検査を受けるよう勧めてほしい」。小池百合子都知事は3日、池袋エリアの繁華街で飲食店を経営する関係者らと面会し、対策の強化を呼びかけた。小池氏は「一日も早く安全宣言ができるよう体制を作っていく」と語った。
面会に同席した高野之夫・豊島区長は、池袋エリアのホストクラブの従業員らに対してPCR検査を受けるよう要請する方針を明らかにした。出席した飲食店関係者の一人は「(夜の街が)悪者のようにされているが、みんなで協力しなければという思いは同じだ」と話した。
都は感染の再拡大を防ぐため夜の街への外出を控えるよう都民に求めているが、人出は着実に増えている。
ソフトバンク系のアグープ(渋谷区)のデータ分析によると、歌舞伎町(新宿区)の2日午後7時台の人出は、緊急事態宣言が出た4月7日と比べて22%増加した。六本木駅(港区)は58%増、池袋駅(豊島区)は17%増だった。
3日夕、歌舞伎町では連れだって歩く若者や、客の呼び込みをしているとみられる飲食店やキャバクラの従業員の姿がみられた。ゲームセンターで遊んでいた会社員の20代男女は「自分たちが感染するという現実味が湧いてこない」と語った。
あるガールズバーでは従業員のゴム手袋の着用や客との間隔を空けて接客するなどの対策を徹底しているという。それでも客足はコロナ前の3割程度。従業員や客に感染者は出ていないが、20代の女性従業員は「マスクをちゃんとしてくれる客ばかりではない。このまま感染者が増え続ければ、さらに客足が遠のいてしまう」と話した。
ナイトクラブで働く女性などでつくる一般社団法人「日本水商売協会」(東京)の甲賀香織代表によると、感染対策に手を抜かない店も目立つ一方で、歌舞伎町のホストクラブ関係者から「感染症に無関心な客が多く、コストをかけてまで衛生管理をする必要がない」との声も耳にしたという。
約200店が加盟する新宿社交料理飲食業連合会などは、夜にパトロールしてマスクを配布するなど啓発活動に力を入れているが、街全体への浸透は難しいという。根本二郎会長は「(加盟店以外にも)歌舞伎町には店や従業員が多すぎて、全体を把握しきれない。一枚岩になって対策を取れない」と話す。
対策に取り組む店も消毒液の設置やマスク着用などにとどまり、換気設備を取り付けるといった大がかりな対策には手が回っていないという。根本氏は「真面目な店が潰れ、荒稼ぎする店だけが残るようでは困る」と憤った。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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