グーテンベルクのおかげ エッセイスト 玉村豊男
ある大企業の経営者と打合せをして別れるとき、「これからどちらへ?」となにげなく聞いたら、「病院へ行くんだ」と答えてから、「これは誰にも言わないでね、個人情報だから」と小声で付け加えた。
なるほど経営者や政治家は病気と知られただけで株価や政治生命に影響するのか、と感心したが、ひとり帰り道、自分が個人情報を切り売りすることでメシを食ってきたことに気づいて苦笑した。
エッセイストといえば聞こえはよいが...
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