ネット中傷者の電話番号、開示請求可能に 総務省検討
総務省は4日、インターネット上で匿名による誹謗(ひぼう)中傷を受けた際に、投稿者を特定しやすくするための制度改正に向けた有識者検討会を開いた。被害者がサイト運営者や接続業者(プロバイダー)に開示を求める情報の対象に、氏名などに加えて電話番号を含める方向でおおむね一致した。7月に改正の方向性を取りまとめる。
論点の一つとして、発信者情報の開示を定めるプロバイダー責任制限法の規定について、現行よりも開示が行われやすくなるよう要件緩和を議論する方針も示した。現在の規定は投稿により被害者の「権利が侵害されたことが明らかなこと」を要件としているが、厳しすぎるとの見方があることを踏まえた。ただ有識者会議では表現を萎縮させる懸念があるとの慎重意見も相次ぎ、実現のハードルは高そうだ。
また請求や裁判手続きで時間や費用がかかりすぎないよう、簡略化による負担軽減も検討する。
投稿者の電話番号の開示に関しては、弁護士が電話会社に照会することで本人の特定が可能となることなどから、被害者にとって有用な情報だと位置付けた。
これまではSNS(交流サイト)事業者に投稿者の氏名や住所といった本人の特定につながる情報がないことも多く、この場合、被害者は事業者から得た通信日時などの情報に基づきプロバイダーにも追加の情報開示を請求しなければならなかった。ただ電話番号なら保有しているケースも多く、迅速な特定につながる可能性がある。
この問題を巡っては、総務省が4月に有識者検討会を設けて議論を始めていた。SNSで中傷を受けた女子プロレスラー木村花さん(22)が死去したことを受け、高市早苗総務相が「スピード感を持って対応したい」と強調。7月に方向性をまとめ、年内に正式な改正案を決める方針だ。〔共同〕