スウェーデン 都市封鎖なし「改善の余地」
【ロンドン=佐竹実】スウェーデン政府で新型コロナウイルス対策を担う疫学者のアンデシュ・テグネル氏は3日「我々がやってきたことは明らかに改善の余地がある」と述べた。同国はロックダウン(都市封鎖)をせず、多くの人が感染して「集団免疫」を獲得することを目指す独自路線を取ったが、死者数が増えて批判が強まっていた。
地元ラジオのインタビューに答えた。英国など厳しい外出規制をした国とは対照的にスウェーデンは店舗などの営業を続け、学校も閉鎖しなかった。テグネル氏は「もし今持っている知識で同じ病気に出合うとしたら、我々の対応と他の国の対応との中間に落ち着くのではないか」と述べた。より厳しい対策を取るべきだったと認めた。
スウェーデンの新型コロナの死者数は約4500人で、北欧では突出して多い。隣国のノルウェーやデンマークなどが互いに入国制限を解除する中、スウェーデンだけは対象から除外。国民からも独自路線の新型コロナ対策に対する疑問の声が強まっていたという。
英紙フィナンシャル・タイムズによれば、テグネル氏は政策に改善の余地はあるが変更はしない、と説明した。100万人あたりの死者数でみると、スウェーデンは約440人。ロックダウン政策をとった英国(約590人)やイタリアなどよりも少ない。
スウェーデン政府に助言する疫学者のヨハン・ギーゼケ氏は「ロックダウンに効果があるという証拠はない」と語る。経済への影響も含め、長期的な視点で検証する必要があると指摘している。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?