タイ首都で再び大規模反政府デモ、王宮近く緊張高まる
【バンコク=村松洋兵】タイの首都バンコクで19日、大規模な反政府デモが行われた。王宮近くで20日朝まで夜通しで集会を開く予定だ。主催団体は軍政の流れをくむプラユット政権の退陣に加え、絶対的な権威を持つ王室の改革を改めて求めるとしており、緊張が高まっている。
集会は国立タマサート大の学生グループが主催し、王宮に近い同大キャンパスと王宮前広場で開催した。政権と対立するタクシン元首相派の支持者らも参加した。主催団体は2014年にプラユット氏が主導した軍事クーデター以降では最大の5万人の参加を見込む一方、治安当局は2万人未満と予測する。
デモ参加者は19年の民政移管に向けた総選挙後も、プラユット氏が首相の座につき強権的な政治を続けていると批判。議会の解散や軍政下で定めた憲法の改正を求めている。一部参加者は王室の政治関与の縮小などを主張している。タイには不敬罪があり、王室のあり方を議論するのはタブーとされる。
タマサート大の学生グループは8月の大規模集会で王室の改革の要求に踏み込み、プラユット氏が「一線を越えている」とけん制していた。同グループは今回のデモで王室の改革の要望書を政府側に提出するとしている。
タマサート大と王宮前広場は、1970年代の反政府デモで学生らが治安当局による武力行使を受けて死傷した事件が起きており、民主化運動の象徴的な場とされる。