シャープ、液晶パネルなど分社化 外部資金を獲得へ
シャープは29日、主力の液晶パネル事業とカメラモジュール事業を分社化すると発表した。意思決定のスピードを速め、外部から資金調達をしやすい体制にする。次世代パネル技術への投資に向けた成長の原資の確保を狙う。
2020年度内にパネル事業とカメラモジュール事業でそれぞれ新会社を立ち上げる。株主総会の承認がいらない「簡易分割」で設立する。詳細な時期や名称、代表者、承継する資産の内容などは今後詰める。
両事業の20年3月期の売上高は単純合算で約9800億円だった。米アップルのスマートフォン「iPhone」などに製品が採用されており、シャープの連結売上高の約4割を占める中核事業だ。
分社化で専業メーカーとしての形を作り、同業者などが出資したり協業したりしやすくする。シャープは将来の成長に向けて、微細な発光ダイオード(LED)で画像を表示する「マイクロLED」と呼ぶ新型パネルなどの開発を検討している。巨額の原資が必要となるため、外部資金の獲得が不可欠となる。
戴正呉会長兼社長はパネル事業を分社化し、株式市場への上場や第三者割当増資などによる資金調達の計画を明らかにしていた。そこにカメラモジュール事業も分社化し、より大きな資金を調達する狙いがあるとみられる。
パネルとカメラモジュールの両事業を分社化すれば、本体で手がける事業はエアコンやスマホなど製品関連が主体となる。部品事業は切り離し、シャープの名を冠して販売する完成品を中核とする「ブランド企業」の確立を目指す。