日化協会長、化学工場の石炭火力「実質的に効率高い」
日本化学工業協会(東京・中央)の森川宏平会長(昭和電工社長)は18日の記者会見で、低効率な石炭火力発電を廃する動きに対して「化学プラントの石炭火力の自家発電は総合的な発電効率が高い」と訴えた。化学産業では製品の製造に大量のエネルギーを使うため、自家発電を保有する企業が多い。製品の競争力維持のため、他の電力への切り替えが難しいのが実情だ。
化学企業が持つ石炭火力の自家発電設備について「電力に加えて蒸気を供給するコージェネレーション(熱電併給)を行っている」(森川会長)と実質的な発電効率を高める工夫があることを説明した。日化協としては総合的なエネルギー効率で評価すべきだと関係官庁などに求めていく方針だ。
一方で再生可能エネルギーについて森川会長は「将来に向けて不可欠であることは事実」との見方も示した。ただ「再エネは持続可能な社会を実現する取り組みの1つ」と位置づけ、「持続可能な社会の形成で化学産業の技術が生かせるように支援したい」と話した。
日化協はプラスチックのリサイクルに向けた技術開発も支援していく方針だ。特にプラスチックを化学的に分解し、石油に近い状態まで戻して再利用できるようにする「ケミカルリサイクル」の推進を掲げている。
森川会長は「石油はできるまで長い時間がかかるが、一瞬で使っている。一瞬で戻す技術を開発する責務がある」と語った。樹脂を溶かして再利用する方法では、リサイクル可能な樹脂が限られてしまうことにも触れた。