米天然ガス先物が急伸　原油急落で減産観測

米国の天然ガスの先物価格が急伸した。指標となるニューヨーク市場のヘンリーハブ価格は日本時間11日午後の時間外取引で、100万BTU（英国熱量単位）あたり1.9ドル台と前日比8%ほど上昇。約3週ぶりの高値を付けた。原油価格の急落で米国のエネルギー企業がシェールガスの減産に動くとの見方が広がり、需給の引き締まりが意識された。

ロシアとの原油減産協議が決裂したサウジアラビアが大幅増産と値下げを表明し、原油価格は前週末から2割以上急落。これを受けて米シェブロンやオキシデンタル・ペトロリアムなどの石油メジャーが相次ぎ支出削減を検討していると伝わり、シェールオイルとともにガスの生産が鈍るとの観測が強まった。

米天然ガス先物は原油安や気温上昇による需要減が影響し、週初には一時4年ぶりの安値となる1.6ドル台に落ち込んでいた。足元でニューヨーク原油先物は米国の経済対策期待などを受け、1バレル35ドル前後と9日の終値から10%超戻している。

市場では「ガスも原油も需給緩和への懸念が強く、売り方の買い戻しが一巡すれば再び上値が重くなりそう」（石油アナリスト）との声が多い。