中国、米への直接投資9割減に 1~3月期
貿易戦争に新型コロナで冷え込み
【ニューヨーク=大島有美子】ニューヨークの調査会社ローディアム・グループなどが11日公表した報告書によると、2020年1~3月期の中国から米国への直接投資(推計値)は2億ドル(約215億円)だった。貿易戦争で落ち込んだ19年の四半期平均(20億ドル)と比べても9割減だ。両国関係の改善が遅れる中、新型コロナウイルスの感染拡大で急激に投資が冷え込んでいる。
報告書では株式や議決権で10%以上を取得する投資案件を集計した。中国から米国への直接投資は16~17年は四半期平均で80億ドルだった。米中貿易戦争が激しくなり、18年には同27億ドルと急減し、19年はさらに20億ドルまで減っていた。20年1~3月期の2億ドルという水準は16~17年のわずか40分の1だ。
報告書では極端な低水準となった投資額を「中国から米国への直接投資はほぼ止まった」と分析している。分野別にみると娯楽やエネルギー業界への投資が特に減った。4~6月期には回復を見込むものの、新型コロナをめぐる米中の政治関係の悪化が懸念材料となっており、20年は年間を通して低水準になる恐れもある。
米国から中国への直接投資は1~3月期に23億ドルとなり、19年の四半期平均(28億ドル)と比べ18%の減少となった。減少は免れなかったが、米国では新型コロナの影響を考慮したとしても、長期的な供給網の観点で中国を重要拠点とみなす企業が多いとしている。
米中関係を巡っては、1月に貿易交渉で第1段階の合意に達した際は「投資見通しも上向きが期待された」(報告書)。しかし合意後の進展が乏しい状況が続く中、新型コロナの拡大で投資環境は暗転した。
米中政府は8日、新型コロナ拡大後に初めて貿易協議の第1段階について電話協議した。中国は「合意履行に有利な雰囲気と条件をつくるよう努力を」と述べ、米国は新型コロナと関係なく輸入目標を達成するよう中国に求めている。トランプ米大統領は11日の記者会見で第1段階の合意について「我々は署名した」と述べ、再交渉はしない姿勢を示している。
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