中国新車販売22カ月ぶり増 4月、政府支援色濃く
【北京=多部田俊輔】中国汽車工業協会は11日、4月の新車販売台数が前年同月比4.4%増の207万台だったと発表した。前年同月実績を上回るのは2018年6月以来22カ月ぶり。インフラ建設再開や買い替え補助金などにより、トラックなど商用車の販売台数が過去最高になった影響が大きい。政府支援が需要を押し上げた格好だ。
一方、全体の7~8割程度を占める乗用車は前年割れが続いている。同協会は20年通年の全用途を合わせた新車販売は、前年実績を15~25%割り込むとみている。
1~3月の商用車の販売台数は53万台と32%増えた。商用車の9割を占めるトラックが大きく伸びた。経済テコ入れを狙う中国政府の指導でインフラ投資が相次いで再開される中、新しい排ガス規制に対応した車両への買い替え補助金が物流会社などの買い替えを促した。
乗用車は153万台と3%減った。ただ、2桁減が続いた3月までに比べると改善した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1~3月に新車を購入できなかった消費者の多くが4月に購入した。公共交通機関を避けて自家用車で通勤する動きや、政府の販売補助金支給やナンバープレート発給制限の緩和も販売を押し上げた。
中国政府が普及を急ぐ電気自動車(EV)など新エネルギー車は27%減の7万台だった。新エネ車の需要の大半を占める、ライドシェアサービスを展開する中国企業の多くが新規投資に慎重なことから、販売の低迷が続いた。
乗用車メーカー別では明暗が分かれた。いち早く生産体制を整えたトヨタ自動車や日産自動車、マツダ、中国の浙江吉利控股集団が前年同月実績を上回った。中国トップの独フォルクスワーゲンは中国第一汽車集団との合弁は前年同月実績を上回ったが、上海汽車集団との合弁は下回った。
20年の通年見通しについて、同協会は国内外の新型コロナの感染拡大が収まる楽観的シナリオで前年比15%減となると予測を公表した。海外で感染拡大が続く悲観的シナリオでは、中国の輸出産業の不振から購入意欲が減退して前年比25%減と予測する。19年に120万台だった新エネ車販売台数は100万台にとどまると予測した。