台湾TSMC、超高性能2ナノ半導体の工場用地取得へ
【台北=中村裕】台湾積体電路製造(TSMC)は25日、回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの超高性能な半導体を生産する工場用地取得に向け、既に交渉手続きを進めていることを明らかにした。2兆円程度の投資になる見込み。2024年前後に量産するものとみられる。
同社が25日にオンラインで開いた技術シンポジウムで明らかにした。工場予定地は、新竹市の本社から約2キロメートルの距離にある新竹科学園区(サイエンスパーク)内。2ナノ品の研究開発を行う、現在建設中の施設「R1」の隣に用地を取得する。4棟を建設する予定だ。
回路線幅は、現在実用化されているものでは、5ナノメートルが最先端品。年内に発売予定のiPhoneの新製品に採用が決まっている。半導体開発を巡っては、TSMCが世界をリードしてきたが、2ナノ品の工場計画も具体化しており、今後さらに他社を圧倒する勢いだ。
TSMCは18年に、7ナノ品の量産を始めた。今年に入り、ライバルである韓国サムスン電子に先駆ける形で5ナノ品の量産にも成功した。3ナノ品についても現在、台湾南部の台南市で工場建設が進められ、22年下半期の量産が予定されている。
一方、米インテルは7月、7ナノ品の量産に手間取り、投入時期が22~23年にまで遅れることが明らかになるなど、苦戦している。中国も半導体の自前開発を急ぐが、政府が支援する中芯国際集成電路製造(SMIC)は14ナノ品などを展開する段階で、TSMCとは大きな技術差がある。
世界からTSMCに先端品の発注が集中する傾向が強まるなか、魏哲家・最高経営責任者(CEO)は25日のシンポジウムで「新型コロナウイルスで世界のデジタル化が加速しているが、その加速に我々の半導体が貢献できる」などと語り、自信を見せた。