ミャンマーで検体搬送のWHO車両襲撃、1人死亡

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー西部ラカイン州で20日、新型コロナウイルス検査の検体を輸送中の世界保健機関（WHO）の車両が襲撃を受け、ミャンマー人運転手が21日、搬送先の病院で死亡した。同乗していた医療関係者1人も負傷した。ミャンマー政府や軍は、少数民族の武装勢力「アラカン軍」による犯行だと非難している。

襲撃を受けた車両は新型コロナ感染の可能性がある人々から採取した検体を運んでいた。ラカイン州の州都シットウェーから、検査施設がある最大都市ヤンゴンに向かう途中で銃撃を受けた。

政府などの非難に対し、アラカン軍は声明で「車両を銃撃したのは国軍だ」と反論した。アラカン軍は仏教徒のラカイン族中心の武装勢力。2019年以降、同州北部で急速に勢力を広げ、国軍と激しく衝突している。

国連は新型コロナに対処するために紛争をやめるよう呼びかけている。だがミャンマー国軍は「停戦は非現実的だ」（国軍報道官）として作戦停止を否定した。地元報道によると多数の住民が密集した避難生活を強いられ、感染拡大が懸念されている。