租税回避地に470兆円流入 15年残高、世界の17%
金融取引などへの税率を低くしている国・地域が域外から受け入れたお金の残高が2015年に約470兆円に上ったことが、財務省の資料で分かった。パナマなど租税回避地(タックスヘイブン)とされる国・地域が含まれ、残高は世界全体の17%を占めた。実態が不透明な取引も多く、政府は各国と連携して取引の透明化を進める。
財務省は26日、政府税制調査会(会長・中里実東大教授)が開いた作業部会で、預金や借入金として域外から入ってきたお金を国・地域別に集計した資料を示した。
資料では、その国・地域の経済規模に見合わない多額の外貨建て取引をしている22の国・地域を「オフショアセンター」に分類。パナマ、ケイマン諸島、バハマなど租税回避地も含む。域外から受け入れたお金の残高のシェアは米国(14%)よりも高く、英国と並んで世界最高だった。日本は3%だった。
オフショアセンターの預金残高は08年に最高になり、09年以降は横ばい圏で推移している。ただ、05年と比べると15年は1.5倍に膨らんでおり、存在感が高まっている。
企業や個人による租税回避地の利用実態を明らかにした「パナマ文書」の公表をきっかけに課税逃れの対策への関心は国際的に強まっている。租税回避地に資金を置くことは合法だが、一部で過度な節税や脱税につながっているとの指摘がある。
財務省は租税回避地などでの不透明な取引の実態が明らかになるように「より詳細なデータを集めていく必要がある」としている。