名古屋大学、豪州から「卓越教授」招へい 給与水準2倍
名古屋大学は28日、規定の給与上限にとらわれず優秀な研究者を招く新制度「卓越教授」にオーストラリア・クイーンズランド大学の山内悠輔教授と名大の天野浩教授を選んだと発表した。就任は4月1日付。山内氏は燃料電池などの性質を高める素材加工技術を研究する。一般の名大教授の約2倍の給与水準で迎え、大学の競争力向上につなげる。
卓越教授制度は、名大が定める約1200万円の年間給与(教授)の上限を適用せず、2千万〜3千万円程度の給与を支払う想定で設けた。主に45歳未満の研究者を対象とし、論文引用回数や研究費獲得で実績のある学者を「世界標準の待遇」(名大の杉山直学長)で招く。今回が初めての選定となる。
化学者の山内氏は燃料電池に使う白金にナノメートルサイズの穴を無数に開けて表面積を大きくし、導電性を高める研究などに取り組む。4月に名大に着任後も、当面はクイーンズランド大学と兼務し、豪州と行き来する。記者会見した山内氏は「海外で日本の大学の存在感が低下しているのを悔しく思っていた。給与面だけでなく、研究装置や人員を含め、海外に劣らない環境を用意していただいた」と話した。
2014年に青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞した天野氏の選定について、杉山氏は「(半導体材料などに使われる)窒化ガリウムの社会実装など現在も優れた研究を続けている」と説明した。天野氏は「大学にとって投資だと思う。10倍、100倍にして返せるような貢献をしないといけない」と話した。