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【高い原発依存度】関西経済界の代表格。原発代替電源確保が課題。

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大手電力の4〜9月、値上げで最高益 3300億円収益改善

2023/10/31 20:00 (2023/11/1 10:37更新)
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大手電力の業績が復調している。10社の2023年4〜9月期決算が31日出そろい、連結最終損益は計1兆6159億円の黒字(前年同期は5928億円の赤字)となった。値上げだけで3300億円収益が改善し、沖縄電力を除く9社が4〜9月期で経常最高益となった。

相次ぐ最高益にもうけ過ぎとの批判もある。物価高による家計の圧迫で、消費者から値下げを求める声は根強い。電力各社は財務改善が道半ばと強調しており、高収益で増えた手元資金の使い道に対する丁寧な説明が求められる。

31日発表した東京電力ホールディングス(HD)の経常損益は4796億円の黒字(前年同期は2816億円の赤字)となり、8年ぶりに最高益を更新した。最終損益でも前年同期は四国電力以外は大幅赤字だったが、23年4〜9月期は東電や東北電力などが黒字に転換した。

資金不足に直面するほどの経営悪化から一転して収益が大きく改善したのは、燃料高が一服してきたからだ。

前年同期はロシアのウクライナ侵攻で燃料の争奪戦が激しくなり、需給が逼迫して燃料代が大幅に増えた。

長期契約する液化天然ガス(LNG)の価格は安定しているが、スポット価格も2割安と21年の水準まで下がった。四国電では1021億円だった燃料費は約1割減った。

燃料費の下落で、卸電力市場の価格が5割安になった。電力会社は老朽化火力の廃止で電力の1〜2割程度を市場から調達しており、北陸電力では20億円の収益改善要因となった。

加えて、値上げが収益を押し上げた。4月までに関西電力九州電力を除く8社が法人料金を値上げし、6月には中部電力、関電、九電以外の7社が家庭向けの料金を引き上げた。

業績回復に伴い、大手電力は控えていた営業活動を再開した。22年春には沖縄電を除く9社が燃料高から法人向けで新規契約の受付を停止していたが、23年10月までに全社が通常の営業体制に戻した。

最高益を受けて、大手電力が電気代を値下げするかに関心が高まっている。中部電は24年度以降の電気代について値下げの検討を始めた。林欣吾社長は「この状況が続けば、皆さんが利益を享受できる方向になる」と述べた。

関電にも値下げを求める声が強くなりそうだ。森望社長は「現時点で決まったものはない」と慎重な発言にとどめたが、9月に保有する原発7基が稼働できる体制となり、値下げ余地は大きくなる。

他の電力会社は値下げには否定的だ。22年の燃料高による経営悪化がまだ響き、9月末で東北電など5社の自己資本比率が10%台にとどまる。

東電や東北電は緊急融資を受けたほか、九電も2000億円の資本増強へ踏み切ったばかりで、財務体質の改善が優先と強調する。

中国電力の中川賢剛社長は燃料安の収益改善は一過性のものだとし、「現行の料金水準を維持したい」と強調した。東北電の樋口康二郎社長は「自然災害や燃料費の急激な変動に備えるための財務基盤が必要だ」と語った。

東電の山口裕之副社長は「(今後の料金施策は)電気は生活の大前提ということも踏まえて判断する」と述べるにとどまった。

まず財務体質を改善するためには、原子力発電の再稼働が必要となる。東電は10月を目標としていた柏崎刈羽原発(新潟県)7号機の再稼働は達成できなかった。

原発の審査は続いており、再稼働の見通しは立っていない。東北電も24年2月としてきた女川2号機(宮城県)の再稼働を同5月に延期した。

物価高で消費者から値下げの要求が強まる可能性がある。政府は電気代の補助を続けており、税金による負担軽減策の費用も膨らんでいる。消費者の理解を得るためには、説明責任が問われてくる。

(山本夏樹、梅国典、河野真央)

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