NVIDIA純利益8.7倍 AI需要が急拡大、市場予想上回る
米半導体大手エヌビディアが21日発表した2023年11月〜24年1月期決算は、純利益が前年同期比8.7倍の122億8500万ドル(約1兆8400億円)だった。市場予想を上回った。売上高は3.7倍の221億300万ドルで、ともに過去最高だった。生成AI(人工知能)向け半導体の需要が急速に高まり、業績の急拡大が続いている。
同日発表した2〜4月期の売上高見通しは240億ドル前後だった。220億ドル前後を見込んでいた市場予想を上回った。
決算発表を経て、時間外取引ではエヌビディア株が21日終値比10%程度高い水準まで上昇する場面があった。四半期決算実績が市場予想を上回ったほか、2〜4月期の売上高見通しでも市場を上回る予想を出した点などが好感された。
23年11月〜24年1月期のデータセンター部門の売上高は前年同期比5倍の184億400万ドルだった。データセンターで生成AIの「学習」や「(質問への回答を導く)推論」といった処理に使う画像処理半導体(GPU)の需要が拡大し、業績をけん引した。
以前は主力事業だったゲーム部門の売上高は56%増の28億6500万ドルと過去最高を更新した。生成AIの急速な普及でデータセンター向けの需要が高まったことで、売上高全体のうち祖業のゲーム部門が占める比率は13%まで下がった。
自動運転技術の開発に使う半導体など自動車部門の売上高は前年同期と比べて4%減の2億8100万ドルだった。
米政府は中国向けAI半導体の輸出規制を強化している。コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は21日、決算説明会で中国市場について「米政府の規制に伴い、データセンター部門の売り上げが劇的に減少した」と話した。
クレス氏はデータセンター部門の売上高に占める中国の割合が23年11月〜24年1月期には1桁台半ばにとどまり、24年2月〜4月期も同程度になるという見通しを示した。23年8月〜10月期決算を発表した23年11月には、中国はデータセンター事業の2割超を占めると述べていた。
エヌビディアが手がける半導体は需給が逼迫して争奪戦になっている。同社のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は21日、説明会で「年間を通じて需要は供給を上回り続ける」と見通しを示し、供給拡大に努めると説明した。
エヌビディアは13年末時点では世界の上場企業の時価総額ランキングで1000位圏外だった。時価総額は10年あまりで200倍近くに膨らみ、14日には一時マイクロソフトとアップル、サウジアラムコに次ぐ世界第4位に上り詰めた。
世界の半導体メーカー・半導体製造装置を束ねた株価指数は19年ごろからエヌビディア株の動向とほぼ連動するようになっている。エヌビディア株の騰勢は他の半導体・AI関連企業の株高にもつながり、世界の株式相場をけん引している。
(シリコンバレー=清水孝輔、ニューヨーク=竹内弘文)
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