忠誠競う共産党幹部、習近平氏を「人民の領袖」と礼賛
【北京=羽田野主】中国で開幕中の共産党幹部の人事を決める党大会で、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)を礼賛する声が相次いでいる。建国の父、毛沢東をたたえる際に使われた「領袖」の称号を使って「人民の領袖」と呼び、3期目が確実視される習氏への忠誠を競っている。
「心から敬愛する人民の領袖だ」。習氏側近で党序列25位以内の蔡奇北京市党委員会書記は17日の党大会の関連会合で、習氏をこう持ち上げた。政治局員の王晨氏も会合で「党と国家の光り輝く成果は、習近平総書記が党の核心であり人民の領袖で、軍の統帥者であることを根源とする」と礼賛した。
思想や理論を担当する党中央政策研究室の田培炎副主任も17日の記者会見で「習総書記は偉大な時代に現れた傑出した人物であり、人々の期待が集まる人民の領袖だ」と話した。
毛沢東は「偉大な領袖」と呼ばれ党の公式文書にも記録された。中国共産党の機関紙、人民日報を中心とした官製メディアは以前から習氏を「人民の領袖」と呼んでいたが、党大会が始まり党幹部が再び競い合うように言及している。党大会で議論中の党の憲法とされる党規約にも盛り込むとの観測がでている。
習氏の党の核心としての地位と、習氏の政治思想の指導的地位を確固たるものにする「二つの確立」にも言及する幹部が目立つ。最高指導部を構成する7人の政治局常務委員は17日に各地の代表団の会議に出席。習氏を除く6人はいずれも「二つの確立の決定的意義を深く理解しなければならない」と声をそろえた。
習氏と距離があるとされる胡春華(フー・チュンホア)副首相も「二つの確立を長期にわたって断固守る」と語り、長期政権を支持する姿勢をみせた。胡氏は党大会で最高指導部入りするとの予想する声が多い。