NATO、東欧に加盟国軍増派 米英はウクライナ退避命令
米も数千人規模の派遣検討 ロシア侵攻に備え
【ブリュッセル=竹内康雄、ワシントン=坂口幸裕】北大西洋条約機構(NATO)は24日、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、同国周辺の東欧地域に加盟国の艦船や航空機などを増派すると発表した。米紙ニューヨーク・タイムズは、米政府も東欧に数千人規模の米軍派遣を検討していると報じている。
NATOのストルテンベルグ事務総長は声明で「(欧州)東部地域の強化を含め、すべての同盟国を防衛するために必要なあらゆる措置をとり続ける」と表明した。
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フランスはルーマニアに部隊を派遣する用意があると表明した。オランダはブルガリアに戦闘機を送り、デンマークはフリゲート艦をバルト海に派遣することを決めた。
米メディアによると、米国防総省高官が22日、バイデン大統領に複数の選択肢を示した。その中にエストニア、ラトビア、リトアニアを含む北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国に1000~5000人の軍を送る案もあり、事態が悪化すれば10倍に増やす可能性もある。週内にも判断するという。
ロシアのタス通信は24日、ロシアとドイツ、フランス、ウクライナによる4カ国の高官協議を26日にパリで開催すると伝えた。ロシア側はコザク大統領府副長官が出席する予定としている。
緊張の高まりを受け、米英両政府は24日までに、在ウクライナ大使館に勤務する一部職員と家族に退避を命じた。米政府高官は「米国民と政府関係者の安全のための予防措置だ」と説明した。
日本外務省は24日、ウクライナ全土の危険情報を「レベル3」(渡航中止勧告)に引き上げた。4段階の危険情報のうち退避勧告に次ぐ2番目の措置だ。ロシアによる軍事行動の脅威で緊迫する情勢を踏まえた。
日本外務省によるとウクライナには20日時点で250人ほどの在留邦人がいる。「事態が急変する場合に備え、出国することを強く勧める」と促した。仏政府も渡航延期を国民に勧告した。
市場にも動揺が広がる。ロシアの主要株価指数は24日に一時、前週末比10%超下げた。米ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時800ドルを超えた。
2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。