東証プライム断念、「降格」ラッシュの背景は?
ここが気になる
東証は2022年4月に市場再編を実施しました。最上位市場を「プライム」と位置づけ、流通株式時価総額が100億円以上などの基準を設けました。旧東証1部で基準を満たせない銘柄も、経過措置として猶予期間を設け、プライム上場維持が認められていました。経過措置は「当分の間」とされてきましたが、東証は今年1月に期限を設定。3月決算企業は26年3月末時点で基準を満たせなければ監理銘柄に指定され、最短で同年10月にも上場廃止になります。
東証が期限を明示したことで、企業により強く改善を迫った形です。移行を決めたある企業は「(期限が)目標とする適合計画期間と大きく乖離(かいり)した」と話します。上場廃止措置とあわせ、23年4月から6カ月間は無審査でスタンダード市場に移れるという「特例措置」も新設されました。足元の動きは、プライム維持に努めても基準を満たせず上場そのものが難しくなるより、いまスタンダードを選ぶことで将来の上場廃止は免れたい企業などが移行を申請しているようです。
移行を決めた企業は理由として上場廃止リスクや経営資源の集中、情報開示などのコストを挙げています。株主還元策より、次の収益の柱を育てる投資が重要と判断したり、還元策や広報を手厚くしても株価が伸び悩んだりするケースも。今後の焦点は上場維持の目標を下ろしていない約200社の動向です。市場関係者の中では「(流通時価総額の基準を満たすメドがつかない)100〜150社程度はスタンダード移行を表明する」という見方もあります。
2017年入社。警察取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。SteamやSwitchでお気に入りのPCゲームがリメークされないかと期待しています。
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