揺らぐスイスのアイデンティティー　金融と中立の2本柱

「祖国ほどたやすく殺人者になるものはいない」。こう書いたのはスイスの国民的劇作家フリードリヒ・デュレンマットだ。

10日ほど前、スイスは自国企業の息の根を止めた。19日夕方に首都ベルンで急きょ開かれた記者会見で、政府と規制当局は167年間、社会の支柱だった金融大手クレディ・スイスの役割が終わったと発表した。奇跡的な産業発展をけん引した国内2位の銀行は長年の不祥事で弱体化し、最大のライバルで国内...