タイ、入国規制で迷走 隔離義務「見直して公表」
【バンコク=村松洋兵】タイ政府が新型コロナウイルスを巡る入国規制措置の運用で迷走している。アヌティン保健相が3日、日本や中国からの入国者に対し14日間の隔離を義務付けると明らかにしたが、その後これを取り下げたうえで、今後の方針は「見直して近く公表する」と説明した。タイは日本から訪れる旅行者や駐在員が多く、戸惑いが広がっている。
アヌティン氏は3日、自身のフェイスブックで日中韓など11カ国・地域からの入国者に、14日間はホテルや自宅での待機を義務付けると表明した。その後に投稿を取り消し「どの国を対象とするかなど、見直す必要がある」と述べた。更新した内容を近く明らかにするとしているが、まだ発表されていない。
タイは2月27日から日本を含む9カ国・地域からの入国者に、14日間は外出を控え自宅やホテルで健康状態を観察するように協力を求めている。既に一部の日系企業では、対象地域を訪れてタイに戻ってきた駐在員に自宅待機を命じたり、日本からの出張を取りやめたりする動きが出ている。
観光客の足も遠のいている。泰日旅行業協会のアネーク会長は2月下旬に地元紙に対し「日本からの団体旅行の8割がキャンセルになった」と明らかにした。この時点では日本からの入国者への規制措置はなかった。隔離義務が実施されれば影響の拡大は必至だ。
タイには2019年に約180万人の日本人が訪れた。約6000社の日系企業が進出しており、世界の国・地域で4番目に多い約7万人の日本人が生活している。
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